薀蓄の扉

業界用語辞典

あ行

イケール
正確な90度を持つ定盤。主に横中グリ作業、旋盤作業に使う。語源はイコール。
インロー
部品を組み合わせるとき芯を合わせ易いようにつける底の浅い凹凸。
もともとはハンコ入れ。昔、旅に出るとき薬を入れて腰に下げて使われる様になり、別名を薬篭という。水戸黄門の葵の紋入りの印篭はあまりにも有名。木で作られたインローは蓋をすると蓋と本体がぴったり面一になるようにかっこうよく作られていたためこのような接合のしかたを大工さん用語で印篭継ぎ、とか印篭決めと呼ばれるようになった。
オーバンコ
大きいバンコ。バンコは旋盤のこと。もともとラテン語でbancoは台(bench)の事で作業台という広い意味で使っていた。定盤やフライス盤の盤もbancoに由来している。
鬼ブリョ
旋盤で長軸の外径を加工する時に素材の外径にはめてローラーで受ける振れ止め具。
オシャカ

不良品とか不合格品という意味で、ものごとに失敗したような時にオシャカになった。」という。

(大和久重雄著 鋼の知識 )より

オシャカはお釈迦様のことで、金細工職人の江戸訛りからいわれたのだとする説がある。これは金製品をハンダ付けするとき火が強すぎるとハンダが溶けて失敗する。それで失敗すると「火が強かったということで、これを江戸訛りで「シガツヨカッタ」「シガツヨッカダ」「四月四日だ。」としゃれたのだそうで、さらにこの日がお釈迦様の誕生日なので「オシャカになった。」と変化し、不良品を意味するようになったのだという説がある。

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か行

カシメ
組み合わされた部品の材料の一部を潰して外れないようにする組み立て工法。
キリコ
切削加工で出る金属のクズ。(切粉)。
ギャングカッター
組み合わせフライス。いくつかのフライスカッターを組み合わせて一つのアーバーに取り付けた物。
クロモリ
クロムとモリブデンを含んだ合金。熱処理により高い硬度と強度を得ることができる高級な炭素合金鋼。
殺す
ネジなどの締結部においてゆるみ止めの為、溶接などにより一体化して分解できないようにすること。

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さ行

すってもむいても
「何が何でも納期厳守。」の意味。工作機械で間に合わなければヤスリで摺っても、包丁で剥いても、徹夜しても間にあわせなければならない事。
使用例:すってもむいても5月10日。(意:5月10日 納期厳守)
最上級は「すってもむいてもこすっても。」
シカル
平削り盤。(英語:プレーナー)。(ドイツ語:シカル)。かんなをかける様な切削加工をする工作機械。
ジョブ
仕事の中でもその成果に対して金額で精算されるもの。
金額だけで精算されない仕事も含めてワークという。
ジグ
加工すべき材料を安定して正確に早く位置決め固定できるようにした道具。漢字を当てて治具とも書く。
ゼロゼロ
(ゼロゼロではめ合わす。)加工誤差が限りなくゼロに近い誤差+0の穴に誤差-0の軸を挿入すれば焼き付くこと無く組み合わせができ、しかもその隙間は0である。この様な理想的な組み合わせ状態に仕上げる事を「ゼロゼロにする。」と言う。しかしこういう事は現実にはあり得ない。寸法を持った現実の世界ではデジタルな0は存在しない。

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た行

タヌキの金玉八畳敷

(大和久重雄著 鋼の知識 )より

よく瀬戸物屋の店先で一升徳利をさげ、菅笠を首から後へたらしたタヌキが、そのホーデン(金玉)を人もなげに、大きく股間にたれ下げている焼物を見かけることがあるであろう。そのホーデンが実に見事な大きさである。それかあらぬか、巷間では「タヌキの金玉八畳敷」といい慣らされ、逸物の大きいたとえに引用されている。石川県の金沢市は元来、金箔、銀箔を作り、塗物や織物に使う工業が盛んなところであるが、ここで聞いた話によるとこうである。金箔を造るときに、金の小さい玉一匁をタヌキの皮につつんで槌打ちして打ち延ばすと、八畳敷の大きさにもなるのだそうで、つまり、これが「タヌキの金玉八畳敷」のゆえんである。それ程、金は展延性に富んだ金属であり、タヌキの皮が槌打に耐えるしろものであることがわかる。(金1gは線にするとおよそ2Kmの長さになるという。)
ダライ粉
ダライ盤(ドイツ語で旋盤のこと)のキリ粉
ダンゴ針
芯出し用のけがき針をパテや粘土でくっつくようにした物。エンドミル等の先にくっつけて回転させながら指で針を沿え、振れないように芯を出し、針の先が主軸の芯と見なして、ワークの芯出しをする。
談合
工事業者が入札で受注業者や金額等を難解なルールに基ずき決める日本古来の方法。
テンプラ
天ぷら。やってもいない作業をやったかのごとく、書類を捏造し、つじつまを合わせること。でっち上(揚)げる。

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な行

なま
構造用炭素鋼。SS400など。煮ても焼いても「焼き入れ」できない鋼のこと。なまくらとも言う。

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は行

ハイテン
ハイテンション鋼。高張力鋼。引張強度が高い合金鋼。テンションが高過ぎてキレルこともある。
ハイス
高周速で加工が出来る工具鋼。(ハイスピード鋼)
ハガネ
熱処理によって焼き入れのできる高炭素鋼。刃金。
はち巻き
加工物の表と裏や側面の通りを出すためのけがき線。加工物を同一平面で切った時できる線。
はめあい
穴と軸など、メスとオスが合体している相対関係を「はめあい」という。穴と軸に隙があるとき隙間バメと言い、無理矢理押し込んでいるときシマリバメと言う。この隙間の状態はアルファベットで表わされ、Hでハメ合わす場合が多い。はめあい関係にあるオスとメスは一般にオスの寿命が短い。例→ゼロセロのはめあい
はめ殺し
部品を組み込んだ後、分解不能な構造。部品が損傷した時、修理するよりその部分をそっくり交換したほうが経済的な場合や安全上分解し難いほうが良い場合、構造の機密を守りたい場合、はめ殺しにされる。設計が未熟ではめ殺しになる場合もあるが、それ以前に組み立て不能に陥る事が多い。地獄とも言う。よく似た言葉に「ほめ殺し」があるが意味も用途もぜんぜんちがう。
ペンガラス
イケールと同じ。出典不明。50歳以上の職人さんがよく使う。
ボルト
ナットと一対で用いるオスネジ締結要素。同じものでもナットを使わず相手の部品にメネジをきった所に用いるものはスクリューと呼ぶ。
砲金
青銅。銅と亜鉛の合金。昔 大砲の砲身に使われていたのでこの名前がある。現在は軸受けの素材として使われている。

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ま行

めくら
行き止まりの構造。(例:めくら穴。めくらフランジ。めくら蓋。)
もみつけ
ドリルで穴を明ける時、穴がずれない様に作る案内となる窪み。皿もみ。
モンキー
自在スパナ。スパナの顎の部分が可動で、いろいろなサイズのボルトやナットの二面幅に合わせて使用できる分解工具。

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ら行

ロボット

(産業用ロボット)単純作業や危険な作業を人間に成り代って作業する自動機械。日本では鉄腕アトムや鉄人28号として人間に似た容姿で親しまれているが、産業用のものは腕の機能と形だけを持ったものが多い。

(アシモフ著 科学の語源 より抜粋)

1921年、チェコスロバキアの劇作家 K・チャッペック は、一人の科学者が多数の機械人間を製造し、それを労働者にして、人類は他のより高度な職務に就くという筋の芝居を書いた。ところが不幸なことに、この計画は失敗に終わり、ついには全人類が機械人間に消されてしまうのであった。

チャッペックの描いた科学者は名前をロッサムといい、そしてロッサムのはたらいていた会社はR.U.R. と名づけられた。これはまたこの芝居の題名にもなっていた。R.U.R. というのは、”ロッサム世界ロボット会社”(Russum's Universal Robots)の頭文字を取ったもので、robot とはチェコ語で”労働者”の意味である。

この芝居は非常な人気を呼び、ついにはロボットということばは、英語を含めて各国語にはいり、人間のような行動をし、人間のような仕事をする機械人間の意味に用いられるようになった。

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わ行

ワーク
加工される材料。仕事。(修行の意味で使う宗教団体があった。)

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工業スペイン語